そらねこ日記

なんでもない事をおもしろおかしく

医学的に攻めて、物理的にやられた日(序章)

中学生の時、理科の先生が

宿題を忘れた僕の頭のてっぺんにゲンコツ(当時は合法)をする構えをして言った

『ん〜〜君は

絶対にハゲるね!おれは見たら分かるから』

あの無機質に笑う、メガネの奥の目を僕は忘れない

そして、僕のつむじに目掛けて関節を尖らせたゲンコツが唸った 

しっかりとつむじの真ん中に正確にヒットした!ヘコんでやしないかと慌ててさすった

 

頭を押さえながら、少年は強く願った!

10年、、、いや20年後に

化学(薬)の力で必ず!かならず!絶対にハゲを防いで見せる!!

きっと!きっと!すごい科学者が飲むだけで毛が生える薬が開発しているはず!

そして、そんなミラクルな薬はめっちゃ高いだろうから、死ぬほど働いて金を稼いでおこう!

 

 

 

ーー20年後ーー

35歳の僕は焦っていた

なんだ?何回直しても、横の生え際が隠れないぞ!?

とうとう、どう考えても前髪のメンバーが少なくなっていた、

散髪の度に美容師さんに

頼んでもいないのにスースーするシャンプーに変えられ

頼んでもいないのにキツめの頭皮マッサージをしてくれるようになった

でも口では、

全然ハゲてないですよ!大丈夫!大丈夫!

と繰り返すばかり

『もしかして、Xデーがきている?

いや、まだまだ!妻にはバレてないはずだ!』

スカルプDを湯水のようにたっぷり使い、

頭皮マッサージも毎日してきたのに

なんで!?なんでだよ!!

 

父も父の父もハゲてないじゃんか!!遺伝子化学は絶対じゃないのかよ!

(母方の男性は全滅!焼け野原)

 

そして、運命のあの日、、、、

 

妻が家族の微笑ましいムービーをみてなぜか様子が変だ

僕が娘に自転車の乗り方を支えながら教えているっていう

そんな動画だったよな、、、

『ん?どうしたん?

!!!っなんじゃこりゃぁ!!』

どう見ても娘(小2)の自転車を支えている僕の頭は汗ばんで全然、頭皮を支えられてなかった!!

メンバーが足りないなんてもんじゃない!ほぼ大五郎だった!ハゲ散らかっていた!!

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西日に照らされた生え際はオレンジに光輝き、少しだけ微笑む中年の大五郎、、

妻に恐る恐る聞いてみた

『おれめっちゃ前髪が薄くなってる??』

笑いをこらえてこちらを見つめる妻の口元が震えている

ここだ!

『てか、ハゲ終わってるよね!?』

せきをきったように爆笑する妻、、

自虐ネタに走ったのを後悔しながら

静かに決意した

 

とうとう来たか!予定より5年早かったが

 

、、もうやるしかねえ!

そこからの僕の検索履歴は

  • 発毛 薬
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などで埋め尽くされた

そして、いよいよ運命の10月某日

娘達に買い物にいくよーと理由をつけて

都会まで車を走らせた

 

『これは逃げじゃない!

中学生の時から決めていた過去との壮大な対決なんだ!!』

もう誰にも邪魔はさせない!

僕はこのために一生懸命働いてきたんだ!

 

そう何度も言い聞かせてながら、娘と妻をショッピングモールへ下ろし

駅近の古い雑居ビルへ1人震える足をすすめた

 

(次回、完結編につづく)